羽田空港公式 フォトコンテスト2022
第3回(2022年)
《写真のテーマ》
羽田空港の魅力的な風景
羽田空港公式フォトコンテスト2022にたくさんのご応募、ありがとうございました!
みなさまが撮影された羽田空港の美景の数々を通して、その魅力を多くの方々と共有させていただければと思います。
今回も幅広い年代の方々から数多くの作品をご応募いただき、特別に「ジュニア賞」を1名追加で入賞とさせていただきました。
最優秀賞 1名
カメラ:Canon EOS R6
レンズ:Canon RF24-105mm F4L IS USM
設定:ISO 1600 1/60秒 f/4 WB:オート
補正:無し
評価
ルーク・オザワ
今の時代を物語っている一枚。最新のスマホを利用し、第1ターミナル展望デッキからJAL機の夜の並びを捉えています。ワイヤーフェンスの向こうの夜景のボケ加減も良い。機材はミラーレス機R6、被写体はスマホの画面の向こうの最新鋭エアバスA350機。僕もここには何度も通っていますがスマホを使う目的はFlightradar24のアプリを見るのみ。通常のフォトコンテストではこういった選定はないのですが新鮮で良いと思います。
チャーリィ古庄
第1ターミナル展望デッキの上の階の端だと思いますが、私もここで何度も夜景のJAL機並びの撮影をしています。機体の並びはともかく、ターミナルの建物がどうしても入ってしまい、良いアングルにするにはいつも苦労を強いられています。ここで作者は一工夫され、アングルを斜めに、しかもスマホの画面を撮るというアイデアで切り抜けました。スマホの画面に無駄がないのもポイントでしょう。
優秀賞 2名
カメラ:Nikon D6
レンズ:AF-S NIKKOR 600mm f/4E FL ED VR
設定:ISO 6400 1/250秒 f/4 WB:4000K
補正:Lightroomでトリミング、周辺光量補正、Denoise AIでノイズ除去
評価
ルーク・オザワ
これは美しいですね。東京ゲートブリッジの向こうのオレンジの夕空がライトアップをきれいに浮き上がらせています。緑のライトもワンポイントとなっていて、何よりも離陸機の飛行機の位置がちょうど中央にきているのも良い。なかなかここには入らないでしょうし機体がボーイング777の大型機が効いていますね。絶妙なタイミングを超望遠レンズで狙うところは全て計算の上なのでしょうか。撮れそうで撮れない写真です。
チャーリィ古庄
東京ゲートブリッジの応募作品は多いのですが、シンメトリーのような橋の構図、背景のオレンジ色。機体の位置、そして写真中央にある、若洲昇降タワー展望台の緑色がワンポイントとなり添え色になっている点もいいですね。レンズ選択(フレーミング)はもちろんですが、ホワイトバランスやISO感度、シャッター速度と絞りなど撮影データから作者の苦労と簡単には撮れない作品だという事が伝わってきます。
カメラ:SONY /α1
レンズ:SONY / FE600mm F4 GM
設定:ISO 3200 1/10秒 f/4 WB:オート
補正:Lightroomで露光量やコントラストを調整
評価
ルーク・オザワ
デジタルカメラになりさらに進化して夜の撮影も簡単に撮れるようになりましたが、それでも技術がないと撮れない写真。この時間帯に羽田に着陸してリバースをかけている瞬間に600mmという超望遠を使う“攻め”の姿勢が好いですね。撮影場所の第3ターミナルからライトが一番多いところを狙い、コクピットのパイロットのシルエットまで浮かび上がっている点が素晴らしい。流し撮りなのだけども実にクリアに完成された作品です。
チャーリィ古庄
600mmを1/10のシャッター速度で流して止める。ものすごい技術です。夜の流し撮りは飛行機を撮る方なら誰もが憧れるカットですが、高価な機材と腕、そして適切な画像処理が伴わないと完成しません。ISO感度が低いことでノイズも気にならず、適切なコントラスト処理によりシャドウからハイライトまで必要な個所はしっかり再現されています。またパイロットのシルエット、機内の様子まで伝わるドラマチックな作品に仕上がっています。
特別賞 5名
カメラ:Canon EOS R6
レンズ:Canon RF100-500mm F4.5-7.1 L IS USM
設定:ISO 100 1/1000秒 f/5.0 WB:昼光
補正: Lightroom classicにてハイライト、シャドウ、白黒レベルマイナス調整
評価
ルーク・オザワ
羽田イノベーションシティからの一枚。太陽がまだ高い位置にある昼間に低い虹が見事にでています。地面を見ると豪雨の直後のようですが、このタイミングでこの場所から撮影する可能性に賭けたのでしょうか。羽田でも虹が撮れることを感じていただける作品です。
チャーリィ古庄
第3ターミナルに並ぶJAL、ANA、そして2021年7月に就航したばかりのヴィスタラ航空とまさに羽田空港フォトコンテストにふさわしい一枚です。虹が出ても、色が薄い場合もありますし、色を出すのは一苦労ですがきれいに表現できています。フレーミングも素晴らしいです。
カメラ:Nikon D850
レンズ:SIGMA 60-600mm F4.5-6.3 DG OS HSM
設定:ISO 100 1/500秒 f/8 WB:オート
補正:Lightroom classicにて色温度、コントラスト、露光量、黒レベル、明瞭度を調整
評価
ルーク・オザワ
コロナ禍で減便の中、これはすごいですね。第2ターミナルからANA機を一つの画面に多く捉えるのは意外と容易いのですが、これは第3ターミナルから第1ターミナルに向かって全てがJAL機。他のエアラインもいないことに加え、動いている3機が絶妙に入り全ての機体に“JAPAN AIRLINE”の名前も見えています。
チャーリィ古庄
8機のJAL機、しかもB767、B777、B787、A350のワイドボディ機全てが入るという、なかなか見ない光景です。離陸機もいるので、ここに入るかもと想定して立ち位置を計算し、シャッターを切ったと思いますが、その高揚感が伝わります。
カメラ:Canon EOS 5D Mark4
レンズ:SIGMA 70-200 Sprots
設定:ISO 200 3.2sec f/4 WB:オート
補正:Lightroom classic
評価
ルーク・オザワ
今年もありましたね、羽田空港周辺の積乱雲から発する雷雲。その雷と稲妻が見事に駐機している機体と絡んでいます。雷雲は時間とともに移動してしまう中、タイミングが見事です。撮影場所の空は抜けているので遥か遠くの稲光ですが、これは僕も撮ってみたい一枚です。
チャーリィ古庄
よくこんなドラマチックなシーンに出会えましたね。作者コメントを見ると、ご自宅がすぐそばで三脚、脚立を取りに戻ったとの事で、近いがゆえのメリットですが、雷は反射神経とダメ元で何度もシャッターを押さなければならないので苦労が伝わります。
カメラ:Canon EOS R5
レンズ:Canon RF100-500mm +RF1.4X
設定:ISO 400 1/1000秒 f/16 ( -2V) WB:オート
補正:シルキーピックスにてコントラスト、色調補正
評価
ルーク・オザワ
羽田に向かう機体で、こんなシーンがあったのかと知らされた一枚です。恐らく南風のRWY16で降りてくる場面のようですが、東京ゲートブリッジと富士山を捉える中で、橋を上部に入れて切り取り、絵を構築しています。空の色、富士山のシルエット、手前の森と丹沢の絶妙な色の違いによるグラデーションも美しいです。
チャーリィ古庄
視程の良い日の夕刻、富士山と飛行機のコラボレーションだけでなく、手前に東京ゲートブリッジを入れるという一工夫が他の作品との違いを感じました。また機体をこの位置にもってくる作者の計算された立ち位置も見事で、富士山の景色は応募作品でも多いのですが新鮮さを感じる一枚です。
カメラ:Canon EOS 5D Mark IV
レンズ:Canon 100-400mm F4.5-5.6 L IS Ⅱ USM
設定:ISO 400 1/2500秒 f/8.0 WB:オート
補正:Digital Photo Professional 4
評価
ルーク・オザワ
虹は出ている時間が短いので、わずか数分のチャンス。背景が晴れているのでこの時も例外ではないと思います。そのタイミングで最新鋭エアバスA350を絡め、意外と普段僕らが撮る中で避けるフェンスもあえてテトラポットまでを入れて作品づくりをしている。アングルもシャッタータイミングも良いと思います。
チャーリィ古庄
エアバスA350に雨上がりの虹がかかる。ステキな一枚です。空の部分を広くとり、機体をフレーミング下側に配置されているのもポイントでしょう。画像処理もふんわりとした柔らかい色味に仕上げている点に好感が持てます。
ターミナル賞 2名
カメラ:Canon EOS 5D Mark Ⅲ
レンズ:EF70-200m F2.8L L IS Ⅱ USM
設定:ISO 400 1/400秒 f/5.6 WB:4900 フィルターなし
補正:Lightroomにてシャドウ強調
評価
ルーク・オザワ
「家路」というタイトル。まさにこれから飛行機に乗って家に帰るんだという想像を膨らませる一枚。第3ターミナルのいかにも国際線らしい出発ロビーのちょうど真ん中に人物がおさまり、周囲に人がいないことで被写体をより際立たせているそんなワンショットです。
チャーリィ古庄
モノトーンに近い色彩が少ない画、シルエットと床の反射、時計と第3ターミナルのカウンターの柱を入れたフレーミング。とても素敵で空港のポスターになりそうなイメージです。この一枚から、主人公である旅人は何人なのか、どこへ行くのか?など、さまざまな想像がふくらみ、作者の狙いが伝わる作品です。
カメラ:Canon EOS 1DX MarkⅡ
レンズ:Canon EF24-105mm F4L IS Ⅱ USM
設定:ISO 6400 1/8秒 f/8 WB:オート フィルターなし
補正:Photoshop Elements 15にてトリミング、傾き修正、映り込みレタッチ
評価
ルーク・オザワ
羽田空港から見た富士山の作品が多い中、この写真は新鮮でしたね。第1ターミナル6Fのギャラクシーホールで結婚式が上げられるというのはご存じの方もいらっしゃるかと思いますが、夜は窓の外にこんなシーンを見ながら挙式が上げられる、それが伝わる一枚です。変化に富んだ羽田空港をうまく表現していますね。
チャーリィ古庄
手前から奥の富士山まで無駄のないフレーミング。このカットは空の明るさ、手前のテーブルの明るさ、シャドウ部とダイナミックレンジを考えないと成立しない作品ですが、作者の撮影タイミング、適格な露出に脱帽です。またJAL機の尾翼が見える程度にシャッター速度を設定し動と静を表現しているのもポイントです。
アーカイブ賞 1名
カメラ:オリンパス OM 2n
レンズ:ズイコー35mm f3.5
設定:エクタクローム64
補正:無し
評価
ルーク・オザワ
懐かしいですね、1982年とありますが、僕も羽田空港に通っていました。この写真を見た時にこの展望デッキに僕もいるんじゃないかと探してしまいました。飛行機だけでなく機体の周りの車両もとても昭和感を出してくれていて、よく見ると沖合展開の工事が始まっているのですが、当時の羽田空港を思い出させてくれるような一枚です。
チャーリィ古庄
1982年撮影とあるので、私がコンパクトカメラを持って羽田空港に行きはじめたころで、中華航空を撮りに展望デッキの南端まで行く途中に見えた景色を思い出します。日本航空のDC-10、奥にはモヒカンカラーのANAのB747SR、B737-200、YS11も見え、DC-10導入直後との事で、色もキレイに出ていてフィルムの保存状態も素晴らしいと思います。
ルーク・オザワ賞 1名
カメラ:Canon EOS 5D Mark IV
レンズ:Canon EF100-400m F4.5-5.6 L IS Ⅱ USM
設定:ISO 100 1/2500秒 f/10 WB:オート
補正: Lightroomにてシャドウ、コントラスト微調整
評価
ルーク・オザワ
これを見たときに思い浮かんだのはNYのブルックリンでした。実はコロナ禍が始まった直後に僕はNY便を予約していたんです。久しぶりのNY行きの計画が中止となり今に至ります。そんな僕の思いを投影してくれるようなこの東京のワンシーン。南風の着陸機2機がちょうど絡んでいるのも良いと思います。
チャーリィ古庄賞 1名
カメラ:Canon EOS 7D Mark Ⅱ
レンズ:SIGMA 150-600mm f5-6.3 contemporary
設定:ISO 640 1/640秒 f/6.3 WB:オート
補正:Digital Photo Professional にて明るさ、彩度、トリミング調整
評価
チャーリィ古庄
東京ゲートブリッジ中央下のわずかなスペースに見えるB787。しかもワイドボディ機なので存在感もあり、機体が出てくるまでここに入るかは見えない中、タイミングは一瞬。難易度がものすごく高い一枚です。アイデアも素晴らしいです。
ジュニア賞 2名
カメラ:Nikon D500
レンズ:Nikon 70-200mm F2.8
設定:ISO 250 1/1000秒 f/7.1 WB:オート フィルターなし
補正:Lightroomにて色調整
評価
ルーク・オザワ
第3ターミナルから見た旧管制塔をメインにして西日が当たって輝いている場面。そこにタイミング良くユナイテッド航空のB787が着陸し、偶然にも同時にC滑走路からB767が離陸する瞬間を綺麗に捉えています。16歳とは思えないシャッター速度1000分の1を選んだことで「全部が綺麗に止まっている」美しい写真だと思いました。
チャーリィ古庄
右下と左上に飛行機を置いた対角線構図の無駄のない絵作り、さらには斜光に照らされ輝く管制塔をバックにユナイテッド航空、スカイマーク、JAL、そして左奥にANAの4社が入るという羽田空港らしさが出ている作品です。
カメラ:Canon EOS R5
レンズ:Canon RF100-500mm F4.5-7.1 L IS USM
設定:ISO 100 1/800秒 f/10 WB:太陽光(C-PL使用)
補正:Lightroomにて光量、コントラスト補正
評価
ルーク・オザワ
“積乱雲が出たので飛行機と絡むかもしれない”という作者のエピソード。そんななか撮影場所に向かって間に合ったというタイミング。意外とこういう雲は5分で姿を変えて消えてしまうので、恐らく発見した時よりもさらに大きな雲になった状況での一枚だと思います。飛行機をワンポイントにして雲をメインにした点にこの写真のすごさが感じられました。
チャーリィ古庄
18歳ですでに羽田に7年通っていて、大人顔負けの機材と作品、もはやジュニア賞ではなく一般部門としても通用する素晴らしい作品です。雲の立体感をPLフィルターで強調し、左下に機体を入れて雲の大きさも表現できているのがお見事です。
スマホ賞 1名
使用スマートフォン:HUAWEI MATE 20
補正:無し
評価
ルーク・オザワ
僕はスマホで撮影するのが苦手。スマホでこんな風に撮れるのを教えてもらった一枚。飛行機が来るまではなかなか子供たちは上を向かなかったと思うのですが、子供たちの目線が離陸する機体に向いたところをタイミング良く捉えている点からこの写真の作品性を感じました。
チャーリィ古庄
「気軽に撮りました」というのが伝わる作品です。しかしながら、気持ちの良い青空、機体と子供、遊具というセットを使い、「羽田空港にこんなところがあるんだ」と気づかせてくれる一枚に仕上がっているのがポイントです。
総評
ルーク・オザワ
3回目となる羽田空港フォトコンテスト。滑走路4本にターミナルビル3か所。はたまた空港近隣からのショットは毎年進化し続け、今年も応募作品はバラエティに富んでいた。近年コロナ禍により地方遠征が減る中、僕自身も羽田での撮影が増えた。地方では展望デッキよりも空港周辺の方が作品作りに繋がることが多いが、羽田においては展望デッキが面白い。光を読みながら3つのターミナルを連絡バスで移動し朝からデッキクローズの夜迄いることもある。何年も通っても新たな絵と出会う程、羽田が織りなす景色は奥深く、それを熟知することで予想予測し空と対峙する絵作りが楽しい。今回の最優秀はある意味「これが?」と思うかもしれない。だが僕はこれこそが絵作りであり今の時代を象徴していると思い最優秀に押した。今後の皆さんの作品作りが楽しみだ。
チャーリィ古庄
作品を拝見させていただいて、皆さまのパッションと、羽田空港の魅力が作品1枚1枚から伝わってきました。しかし写真は撮影の基礎ができていて、空港でドラマチックなタイミングに出会うか、計算して撮影し、最後に適度な画像処理とプリント技術により作品として仕上がります。中にはスーパーチャンスなのに、カメラの設定やプリントが悪く落選してしまったものや、写真は素晴らしいのに残念ながら応募規定に反しているものなどがあり、審査中に泣く泣く落選にしなければならない作品があったのも事実です。私も毎月羽田空港で撮影していますが、周辺も含めてまだまだ撮りたいネタがあるので、ぜひ次回に向けて基礎を理解した上で撮影に臨んでいただければと思います。
審査会の様子と審査員から撮影のアドバイスを公開中!