傾きかけた陽の光があたたかに雲海を照らしている。もくもくと輪郭のある雲は、地面に積もった雪のようにも見える。機体が下降を始めて分厚い雲の中に突入すると、窓の外には白い風がごうごうと流れていく。それをしばらく見つめてから、ふうと息を吐いて目を閉じた。14時間近いフライトがもうすぐ終わる。ふと瞼に光を感じたので目を開けると、眼下には西陽を受けて輝くマルマラ海が広がっていた。海上にはたくさんの船が行き交っている。そのあまりにも神々しい光景にはっとしてカメラを構えたが、まもなく機体が大きく旋回を始めて見えなくなってしまった。美しい瞬間はいつも唐突に訪れて、たちまち通り過ぎていく。赤い屋根の街並みがみるみるうちに近付いて、私はイスタンブールに降り立った。

傾きかけた陽の光があたたかに雲海を照らしている。もくもくと輪郭のある雲は、地面に積もった雪のようにも見える。機体が下降を始めて分厚い雲の中に突入すると、窓の外には白い風がごうごうと流れていく。それをしばらく見つめてから、ふうと息を吐いて目を閉じた。14時間近いフライトがもうすぐ終わる。

ふと瞼に光を感じたので目を開けると、眼下には西陽を受けて輝くマルマラ海が広がっていた。海上にはたくさんの船が行き交っている。そのあまりにも神々しい光景にはっとしてカメラを構えたが、まもなく機体が大きく旋回を始めて見えなくなってしまった。美しい瞬間はいつも唐突に訪れて、たちまち通り過ぎていく。

赤い屋根の街並みがみるみるうちに近付いて、私はイスタンブールに降り立った。